Column

火振り神事

ちょっとびっくりだったシンクロニシティの話を一つ。

昔子どもの頃に、母が持っていたCDの中で、姫神のイーハトーヴォ日高見というCDがお気に入りだった。
シンセサイザーの音色の神秘的で不思議な曲の多いCDで、
それを聴いていると、何だか別世界の風景が見えてくるような、
ちょっと不思議な感じのCDだった。

大人になって独り暮らしを始め、初期の頃はよく離れて東京で暮らすようになった母の家に時々遊びに行っていた。
戦前の建物が多く残る、商店街が賑やかだったり流れのある楽しい町で、
ちょうどその町の人気がとても出てきた頃で、様々な新しいお店が並ぶようになり、
いつでも色々な発見がある楽しい町だったのだ。
後半には病気が悪化し具合が悪く、外出がとても困難になってしまったため、
ほとんど行くことができなくなり、
もっと探索してみたかったなぁという心残りのある町でもある。

そんな頃母の家で聴いた姫神のCDで、火振り神事という阿蘇の火振り神事をもとにした曲を聴いて、
その曲が印象深い曲だったので、CDを借りたいなと思い、
次に母の家に行った時に改めて聴かせてもらったあと、CDを貸してもらった。
また町を探索した後母の家に戻ってくるので、CDは家に置いておけばいいのに、
何を考えていたのか私は借りたCDをそのままバッグに詰め、母と町の探索に出かけたのだった。


そして、その頃よく行っていた母の家の近くの雑貨屋さんに遊びに行った。
そこのオーナーは九州の阿蘇地方の出身で、
同じく、生まれたのが南九州で子どもの頃北九州に住んでいたことのある私は、
同い年ということもあって、九州の話で盛り上がったりしていたのだった。
(しかし私の熊本の話題はもっぱら、熊本ラーメンがとてもおいしかった、だった)

そして話の途中でふと、お店で流れているBGMに気が付き、
あれ、この曲何だか聴いたことのある曲だなぁ…と思い、それを言うと、
いや、それは絶対に違う曲だよ、昔のCDだからと言うので、
いやでもやっぱり聴いたことがある気がするんだけどな…あっ!
それは母の家で聴かせてもらった、火振り神事のCDの中に入っている一曲で、
まさに私が今借りようとしているCDのものだった。
えっ、もしかしてさっき家で聴いてたやつじゃない? と母に言い、
そうだ、CDをバッグの中に入れたんだったとバッグの中からCDを取り出すと、
やっぱり同じCDだったみたいで、のんびりやの店主もさすがに驚いていた(笑)
そんなマイナーな昔のCDがこんなタイミングで出てくるなんてね。(しかもバッグの中から)
シンクロとは起こる時は起こるものだとつくづく思う。

その後お店は閉店してしまい、私もあまりその町に行かなくなり、
会うことはなくなってしまったけれど、
私の数少ない人との関わり合いの中で誰かと一時を共有した、ちょっといい思い出の一つ。
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